コリオリの力に関す説明で良くあるのは、回転する円盤の中心に立っている人が、外側に立っている人に向かってボールを投げるというものです。
我々は高校の物理の時間に、飛んでいる飛行機から物体を落とすと、その物体が地面に到達した時には、その真上に飛行機が飛んでいるという慣性の法則を勉強しました。
落とされた物体は飛行機の飛んでいる速度を初速度としてそのまま落ちてくると教えられたのです。
この慣性の法則によって自分も錯覚をしてしまいました。
(A)が、回転する円盤の中心に立っている場合、(A)は円盤と一緒に回転している訳ですから、(A)が投げたボールは、円盤が回転する速度を初速度として与えられていて、円盤の外側に立っている(B)に向かって真っすぐ飛んで行く筈と考えたのです。
しかし、速度の定義は
速さ(V)=距離(S)/ 時間(T)です。
円盤の中心は回転しているだけで、どこにも移動していないのです。つまり移動距離(S)が0ということは、自動的に速度(V)も0となり、ボールに初速度などを与えられる筈がないのです。
(A)が円盤の中心ではなく、中心と外側の淵との中間から投げることにすれば、(A)は明らかに移動している訳ですから移動距離(S)が生じます。その結果ボールにも初速度(V)が与えられ、理解しやすくなると考えました。