「相対湿度と絶対湿度の違い。快適湿度は40~60%?」

「相対湿度と絶対湿度の違い。快適な湿度は40~60%?」
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  一般に人間が快適と感じる湿度は40~60%だと言われます。湿度が40%を下回ると喉がいがらっぽく感じたり、肌がカサカサになったり、またインフルエンザウィルスが活動しやすくなると言われます。湿度が60%以上になった場合は、汗が乾きにくくダニやカビが発生しやすくなるそうですが、同じ湿度でも、夏の高い気温と冬の低い気温とでは、空気中に含まれる水蒸気(水分)量は全く異なります。一般に湿度というと「相対湿度」を指しますが、「相対湿度」は「飽和水蒸気圧」分の「水蒸気圧」×100%で表します。

以前のページでも述べたように「飽和水蒸気圧」は「飽和水蒸気量」に置き換えることができます。そして「飽和水蒸気量」は気温によって大きく変動します。ここで夏の30℃と冬の10℃での「飽和水蒸気量」を比較してみると、気温30℃では 30.38g/㎥なのに対して、10℃では 9.41g/㎥ になります。

例えば「相対湿度」が50%の時の水蒸気量はこれらの半分になりますから、それぞれ15.19g/㎥、4.71g/㎥となる訳ですが、同じ湿度50%でも、30℃と10℃では、その水蒸気量は3倍以上違うことがわかります。「冬は空気が乾燥している・・・」と良く言われるのは気温が低いため空気中の水蒸気の絶対量が少なくなるからです。

  「相対湿度」に対して「絶対湿度」があります。「相対湿度」は気温によって変化しますが、「絶対湿度」は気温に関係なく、実際に空気中に含まれる水蒸気量を示します。単位は「g/㎥」です。

 冬の日本ではインフルエンザウィルスが猛威を奮います。インフルエンザウィルスは乾燥を好み高温多湿を嫌うと言われていますが、真夏にインフルエンザが流行する地域もあります。ウィルスの活動が気温には関係ないとすれば、重要なのは、気温によって変動する「相対湿度」ではなく「絶対湿度」ということになります。高温であれ低温であれ、乾燥が喉の粘膜を傷つけウィルスが侵入し易くなると言われています。人間はインフルエンザウィルスと闘う前に「乾燥」と闘わなければなりません。

 日本の夏は気温が30℃を越え、蒸し暑くなりますが、「相対湿度」が40%以下であれば快適に過ごせると言われます。湿度が低ければ汗をかいてもすぐに乾いてくれますから、蒸し暑さを感じなくなるのですね。

 「絶対湿度」を一定のままにして気温を上げて行くと、 「飽和水蒸気量」が大きくなり、「相対湿度」が下がって洗濯物が良く乾くようになります。逆に気温を下げれば「相対湿度」は大きくなって、かいた汗は蒸発しにくくなります。

「相対湿度」とはその時の気温に対してその時の大気の状態が、どれだけ飽和に近いか(結露しやすいか、雨が降りやすいか)、または、どれだけ洗濯物が乾きやすいか、かいた汗が乾きやすいかを示す指標です。ですから空気そのものの乾燥度合いを決めているのは「相対湿度」ではなく「絶対湿度」なんです。

たとえ「相対湿度」が100%の飽和状態であっても、気温が極端に低ければ「絶対湿度」が小さいですから、空気は乾燥しているのと同じです。

「40~60%が快適な湿度」というのは飽くまで冬の話です。人間にとって快適かそうでないかは、その時の「気温」と「絶対湿度」が決めているのです。
 
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