低気圧が台風と呼ばれるためには3つの条件を満たす必要があります。
その① 熱帯低気圧であること。
熱帯低気圧は、緯度が5~25度付近で、しかも熱帯もしくは亜熱帯地域の、海面水温が26~27度以上の海上で発生します。また熱帯低気圧は温帯低気圧とはその構造が全く異なります。
その② 風が強いこと。
中心付近の最大風速が17.2 m/s(34ノット、風力8)以上あること。
と言っても、風速17.2m/sってどのくらい強い風なのでしょうか?
・風速10m/s(やや強い風)を超えると傘がさせなくなり、風に向かって歩きずらくなります。
・風速15m/s(強い風)を超えると、雨戸や窓のシャッターがガタガタ音を立て、看板が倒れたり、軽い物であれば飛んで来たりします。もちろん風に向かってなんて歩けません。
・風速20m/s(非常に強い風)を超えると、何かにつかまっていないと立っていられなくなります。屋根瓦が剥がれ落ちたり、ビニールハウスが壊れたり、車の運転はハンドルを取られます。
ところで17.2m/sを時速に直すと、17.2(m/s)×3,600(秒)=61,920(m/s)これは自動車の一般道路での法定速度、時速約60kmです。オープンカーに乗っていたら結構強い風を受けること想像できますよね。
その③ 日本に近いこと。
台風の中心が日本からおよそ300Km以内に近づき、日本に被害を及ぼす可能性が生じた時、気象庁は台風に関する予報や情報を3時間ごとに発表します。
台風は地域によって呼び方が変わります。メキシコ湾やカリブ海などではハリケーン。オーストラリア周辺やインド洋ではサイクロン、北西太平洋ではタイフーンと呼ばれます。
日本ではその中心が赤道より北側にあって、かつ東経100度から180度の間にある時にこれを台風と呼びます。
台風のエネルギー源は潜熱です。
多量の水蒸気が勢い良く上昇し、その水蒸気が断熱膨張冷却により凝結(雲をつくる)することで熱帯低気圧は成長して行きます。多量の水蒸気が凝結する際には多量の潜熱(凝結熱)が放出されます。この潜熱によって大気は更に暖められ、上昇気流が加速されることで積乱雲が発達していきます。地上付近では低気圧の中心付近の気圧が更に下がり、周囲から中心に向かって吹き込んでくる風もそれだけ強まります。このサイクルを繰り返すことで、熱帯低気圧は台風へと発達していきます。
台風が上陸してその勢力が衰えるのは、エネルギー源である水蒸気の補給が出来なくなるからです。また赤道付近は海面水温が最も高いのですが、赤道を挟んで南北緯度5度前後の内側では、熱帯低気圧はほとんど発生しません。これは赤道付近はコリオリの力はゼロに近づき、回転運動が起きにくくなるからです。